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2009年02月27日

バレンタイン・ディナー (5)

きのうは、イル・フロタント(浮島)というデザートのお話でしたが、今回は、わたしが選んだデザート、ナージュです。

Nage de pamplemousse et orange au thé sorbet

nage(ナージュ)というのは、わたしも詳しくは知らないけど、おつゆをたっぷりとかけて出す料理のこと、らしいです。

わたしのお粗末なフランス語から判断するとですネ、これは、グレープフルーツとオレンジのおつゆ? と、紅茶のシャーベット??

いったい、どんなんや? 
と、好奇心満開で注文したら、出てきたのは、グレープフルーツのシャーベットと、グレープフルーツとオレンジに紅茶シロップをかけたナージュでありました。

ナージュオレンジの輪切りの上に、シャーベットが乗っていて、その上に、5cm四方に切ったキャラメルが乗っている。

シャーベットの下に、オレンジの輪切りが座布団のように敷いてあるんだけど、この輪切りが、なぜか、わざわざパリッと乾燥させてある。

なぜ、生じゃないんだろう。なぜ干した輪切りなんだろう。
頭が禿げるほど考えたけど、わかりません。

シャーベットの上のキャラメルは、透明で薄氷のよう。スライスしたアーモンドを散らして、固めてあります。

だいたいが、キャラメルなんてもんはネ、砂糖ばっかりで栄養なんかないんだからネ、と思いながらも、見た目がきれいだから、パリパリと、つい食べてしまう。

シャーベットは甘すぎず、グレープフルーツの苦味があって、美味でした。あ、だからキャラメルなのかァ。その苦味に、この甘みがとてもマッチしてる。

ナージュは白い小鉢に入っていて、赤い果肉のグレープフルーツとオレンジの切り身が、紅茶シロップのおつゆに浸ってます。

で、なぜか、この皿に、ブラウニーがついている。ブラウニーは、ナッツ入りのチョコレートケーキで、生地はスポンジケーキより固めです。

マーブル模様を描いたクレーム・アングレーズで、おしゃれに飾られたブラウニー。でも、なんで、それがこの皿に?

これ、ナージュとはまったく別のメニューで、あたしゃ、注文してないんだけどぉ……。

ははあ、つまり、こういうこと?
「ビーフシチューがあんなんで、わりぃ、わりぃ。お詫びに、ほら、デザートのブラウニー、おまけしとくからさ」

んなわけないだろうけど、ま、そういうことにしときましょ。
でも、ブラウニーは多いなあ……。

と、ためらっていたら、目の前のイギリス男の手がにゅっと伸びて、「いらないんでしょ?」といって、かっさらっていきました。

自分のオムライス大のメレンゲを、パクっとたいらげて、さらにわたしのブラウニーを食べるってかぁ? イギリス人て、男女問わず、ホンットに甘党だよねえ。

このあと、イギリス男はコーヒー、わたしはオレンジの花のハーブティをいただきました。で、このコーヒーやお茶に、また、チョコレートとプチケーキがついてきた。

はあ〜、満腹、満腹。
お腹がぽんぽこりんに膨れた、バレンタインの午後でありました。



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2009年02月26日

バレンタイン・ディナー (4)

フランスのレストラン「三銃士」のお食事レポートも、いよいよ終盤のデザートで〜す。

メインコースの皿が片付けられると、ウェイトレスが、小さくておしゃれな、銀のちりとりとブラシを持って来て、テーブルクロスのパンくずを、掃除してくれました。

そして、ふたたびメニューが配られ、デザートをチョイスします。このタイミングで、厨房にいたシェフが出てきて、お客のテーブルを回ってご挨拶。

「なんだよう、あのビーフシチューは。煮込むにも、限度ってものがあらぁな。あんなものに金取るのかい」

と、言いたいけど、とてもじゃないけど、言えない、言えない。
太っちょの、気の良さそうなシェフの笑顔につられて、おほほほと、ほっぺ引きつらせて、愛想笑い。

さて、父ちゃんが選んだデザートは、イル・フロタント(Ile Flottantte 浮島)。これはフランスの定番デザートだから、おそらく、どこのレストランに行っても、メニューに載っているはず。

作り方は、シンプル(作業は面倒だけど)。卵白に砂糖を入れて泡立てて、メレンゲをつくり、それに火を通して固めて、クレーム・アングレーズ(Creme Anglaise)に浮かべれば、ハイ、出来上がり。

面白いことに、クレーム・アングレーズって、「イギリスのクリーム」という意味なんです。

イギリスではカスタード、日本ではカスタードクリームと呼びますが、ほら、シュークリームの中に黄色いクリームが入っているでしょう、あれです。

(ちなみに、イギリスで「カスタードクリーム」というと、ある種のビスケットのことです)

ちょっとゆるめのカスタードの中に、ぽっかり浮かんだメレンゲ。それが、海に浮かんだ小島のように見えることから、イル・フロタント(浮島)の名がつきました。

イル・フロタント運ばれてきた、浮島は、ひゃあ、で、でっかい!
普通は、この半分くらいなのに。

いよっ、太っ腹だねえ(シェフはリアルに太っ腹)、気前いいねえ。
そう、思い出した、この前来たときも、量が多いという印象はあったんだよね。

とてもじゃないが、海に浮かんだ小島には見えない、オムライス大のメレンゲの上には、アーモンドのスライスを散らして、キャラメルがかけてある。

あ、キャラメルってのは、ひと粒300メートル、グリコのキャラメル、おまけもついてるよ〜!

じゃなくってェ、砂糖を水で溶いて煮詰めたもので、冷めると固まります。噛むとパリンと割れて、カリカリするので、メレンゲのようなふわふわのテクスチャーと合わせると、メリハリがあって、よろしいのです。

メレンゲの横のオレンジ色のほおずき、フィサリス(食用ほおずき)は、ま、ほおずきなんで、そんなに美味なもんじゃないけど。

ここ数年で、ヨーロッパのレストランで、飾りとして使われているのを、よく見かけるようになりました。



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2009年02月25日

バレンタイン・ディナー (3)

先週に続いて、フランスのレストラン「三銃士」のお話です。
お料理は――

アミューズ・ブーシェ(つき出し)が、鮭のムース、
前菜が、リレット(ポークのパテ)。

お次のメインコースは、この地方の郷土料理、カルボナード・フラマンド(フランドル風ビーフシチュー)。ビーフをビールで煮込んだシチューです。

フランドル風ビーフシチュー運ばれてきた皿を見て、え〜、フランドルのビーフシチューって、ハンバーグなのォ?!! と思ったくらい、ビーフの一切れがでっかい!

付け合せは、チーズソースで軽くあえたパスタ、そして、ラタトゥイュ。ラタトゥイュは南フランスの郷土料理で、野菜のごった煮。これはどの地方のレストランでも、よく出てきます。

このラタトゥイュには、ズッキーニ、赤ピーマン、マッシュルームなどが入ってました。お味はよかったです。ていうか、こんな簡単な料理、そうまずくは作れんぞ?

ところがっ!
よろしくなかったのが、このハンバーグ大の肉塊。いったい何年煮込んだんだよう、というくらい、火が通りすぎていて、フォークで刺すと、肉の繊維に沿って、ぽろぽろと崩れてしまう。

そりゃ、煮込み料理だから、とろ火で長時間煮込むのはわかるよ。
だけど、こりゃあ、いけません。

肉の旨味なんか、ぜーんぶ出てしまって、父ちゃんに試食させたら、この味オンチのイギリス人でさえ、肉がパサパサだという。

あーあ、フランスまで来て、こんな料理……。
でも、うん、あるよな、こういうことって。ま、ここは、ミシュランやロジ・デ・フランスの看板を掲げているレストランじゃないし……。

ポール・ボキューズと長年の親交があった、料理研究家の辻静雄氏の著書に、「フランス料理の手帖」があります。

それに、氏が、パリの伯爵夫人に、マキシムでご馳走になった話が出てきます。1960年代の話だから、マキシム全盛期のころではないでしょうか。

そのとき、辻氏が注文したポタージュが、ひどく塩辛かった。ためらっている氏を見て、伯爵夫人がそれを味見して、「あら、これはいけない」。

伯爵夫人が、コック長に、味をなおして、あらためて出すようにと言うと、コック長は「いつものとおりの味でございます」と言い張る。

それでも、もう一度出しなおすようにとの、キツ〜イお達し。こんどは味をなおしたものが出てくると思いきや、再び塩辛ポタージュ。

伯爵夫人は、それを下げさせ、もう一度、いつもの味にするようにと、断固として言い放った。

ボーイ長を通して行われた、厨房にいる誇り高き意固地なシェフと、伯爵夫人の、緊迫したやりとりに、辻氏はハラハラ。

そして、3度目に出てきたのは――
やはり、塩辛いポタージュだった。

あの全盛期のマキシムでさえ、こんなことがあったのだから、と、わたしは、フランスでハズレの料理に当たると、おとなしく自分の不運を嘆くことにしています。とほほ。

ちなみに、父ちゃんのビーフステーキをちょいとお味見して思ったのは――

ビーフステーキってのは、日本が一番じゃないでしょうか。
だって、松坂牛だの、飛騨牛だの、上等な素材がいっぱいあるんだもの。


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2009年02月20日

バレンタイン・ディナー (2)

きのうの、フランスのレストラン「三銃士」の続きです。

つき出しの鮭のムースがちょっと塩っぱくて、むむむむ……だったけど、ま、オードブルに期待しまっしょ。

と、出てきたのが、リレット。これは、豚肉をラードで煮込んだ、パテです。豚肉をラードで煮込むって、どんだけ脂っぽいんや、って思うでしょう? まあ、ラードの分量にも拠るんだろうけど、意外とオッケイです。

肉とその脂といえば、フランスの中南部の料理で、鴨やガチョウのコンフィってのがあるけど、これはガチョウの肉をガチョウの脂に漬け込んだものです。

はじめてこれを食べるとき、うへえ、相当脂っぽいんだろうなあと思ったけど、いや、案外とイケまっせ。昔、肉を保存するために、こういった調理法が生まれたのだそうな。

さて、「三銃士」のリレットはどんなんかなあ〜、と待っていると、出てきたのは、ペースト状ではなくて、肉の細かな塊だったので、うほほーい!(パテって、あんまり好きじゃないんよね)。 これを、カリッと焼いたトーストに乗せて、いただきます。

オードブルこのリレットについていたピクルス、自家製みたい。だって、瓶詰めのピクルスと違って、これは、シャキーンとして、おいしかった!

付け合せは、クロケットのサラダ。上の写真、チョコレートを搾り出したように見えるのは、バルサミコ・ヴィネガーのドレッシングです。そして、この皿には、ちょっと素敵なサプライズが! 

トーストの下に、もやしが隠れていたのです。あ、もやしといっても、普通のじゃなくて、アルファルファみたいな、糸のように細いもやし。新芽のことなんだけど、えーと、スプラウトって言うんだっけ。

でも、種が真っ黒なので、アルファルファじゃない。何の新芽なのか知りたくて、わざわざ聞いてもらいました、シェフに。

そしたら、リーク(ポロねぎという、やたらめったら太いねぎ)ですって。リークのスプラウトは珍しいから、おそらく、ここの自家栽培でしょう。

これは嬉しかったね。だって、スプラウトって、すっごい栄養価高いんです。特に、ブロッコリーのスプラウトは、ガンの抑制効果があることで知られているし。

あー、わたし、食べ物の話となると、とめどがないです。
食に興味のある食いしん坊さん、最後のデザートまでつきあってちょうだいませネ!

(次は、メインコースです)


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2009年02月19日

バレンタイン・ディナー (1)

今年のヴァレンタイン、いかがお過ごしでしたか?

イギリスのヴァレンタインは、チョコを配る日じゃなくって、若者はもちろんのこと、おじちゃん、おばちゃん、はたまた、じいちゃん、ばあちゃんも含めた、真面目な愛の日です。

今年は久しぶりに、フランスに行ってきました。そう、イギリスの南東部に住んでいるおかげで、フランスに日帰りができるんです。

わが家からユーロトンネルまで、車で1時間、ドーバー海峡を渡るのに30分。フランスのカレーに着いて、そこからエア(Aire-sur-la-Lys)の町まで1時間。食事をゆっくり楽しむなら、日帰りだと、フランス北西部のこのあたりが限界でしょう。

今回行ったのは、「三銃士」(Hostellerie des 3 Mousquetaires)という名の、シャトーホテルです。数年前に行って、良かったので、また行きたいなあ、とリクエスト。

シャトーホテル右の写真が、その19世紀のシャトーです。1階はレンガ造りで、2,3階がノルマンディ風の木骨造りという、面白い建物です。小さなシャトーなので、客室は33しかないけれど、ランクは星四つ。

大きな、古めかしい木のドアを開けると、あらら、むく毛の犬がお出迎え。そう、日本ではありえない光景だけど、ヨーロッパでは、ときどき見かけます、レストランにオーナーのペットがいるのを。

予約しておいた席に案内され、メニューを見てあれこれと迷うのが、楽しいひとときです。わたしたちが選んだのは、3コースのメニュ(定食)で、前菜は、父ちゃんが、タラのクリームコロッケ。

タラのコロッケなんて、イギリスにもあるじゃん。わたしは、せっかくフランスに来たんだから、イギリスではお目にかからないリレットにしましょ。

そして、メインコースは、父ちゃんがビーフステーキ。うんもう、ビーフステーキなんて、イギリスにもあるじゃん。せっかくフランスに来たんだから、わたしはこの地方の郷土料理、カルボナード・フラマンド(フランドル風ビーフシチュー)にしましょ。

ワインや水など、飲み物が運ばれて、次に来るのが、パン。バゲットかなと思ったら、小ぶりなまん丸のロールパンでした。このパンが、どんなものかで、そのレストランの、だいたいのレベルがわかるような気がします。

このパンが良ければ、あとの料理も期待していい。と、自分の経験から、思ってます。ま、たまにゃあ、ハズレもあるけどネ。

ここのロールパンは、よしよし、ちゃんと温めてある。皮がパリッとして、中はしっとりとして柔らかい。うん、いいね、なかなかいいよ、このパンは。

パンにバタを塗ってかじっていると、amuse-bouche (アミューズ・ブーシェ)が出てきました。これは、日本でいう、つき出しです。この、つき出しというもの、イギリスではほとんどお目にかかったことがない。

注文していないものが、勝手に出てくると、なんだかうれしいです、オマケしてもらったみたいで。量は、ほんのちょびっとだけどネ。

鮭のムース小さな楕円のガラス器に入って、出てきたのは、鮭のムース。その上に、あさつきを散らしたクリームがかかっています。(右の写真)

スプーンで一口食べて、むむむむ……
ちょ、ちょっと塩がききすぎじゃないのォ?……

えー?  わたしの舌がおかしいのかしらん?
この前来た時は、そんなこと、なかったんだけどなあ……。

うーん、ま、次の料理に期待しましょ。と、気を取り直したんだけどォ……。

(この続きはまたあした)


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